化学結合(1)

化学結合をざっくりといえば…
かがくについて話をすすめていると、ところどころで「結合」というワードがでてきます。私がいうのもなんですが、「結合」という言葉はとても便利なのです。例えば、ややこしい現象を説明する場合に「結合します」でニュアンスを伝えられることもあります。
このブログで特に説明がない場合の「結合」は、化学結合のことです。とはいっても化学結合にはいくつかの種類がありますので、読んでいただいている方にとっては、どの結合?となる場合も少なくないでしょう。また、そもそもなんで結合するの?という根本的な疑問もあると思います。
そこでこのシリーズでは化学結合について、種類や原理などをなるべくわかりやすく説明したいと考えています。うまくお伝えできるかどうか自信がないのですが、頑張りますのでお付き合いいただければ幸いです。
おっと、小タイトルの件を忘れていました。化学結合にはいくつかの種類がありますが、まとめてざっくりといえば”原子同士の結合”と説明できると思います。

化学結合を知る前の基本事項①-原子の構成
化学結合は原子同士の結合なので、化学結合を知るためには原子の特徴を知るのが近道といえそうです。
ということで早速、原子の構成を見てみましょう。原子は電気を帯びている陽子と電気を帯びていない中性子をつくり、その周りに電気を帯びている電子が存在する形態をしています。

周期表の原子番号はその原子の陽子の数と等しくなります。例えば原子番号1の水素原子は陽子数も1です。
ここで原子の安定性について考えてみます。化学でいう安定性は大雑把にいうと、その状態の保ち続けやすさの程度、という感じです。安定性が高ければ高いほどその状態を保ちやすいということです。原子では、陽子と電子の数が等しければトータルでゼロの電荷となるのでこの状態を保ちやすい、すなわち安定しているように思えますが、実際にはそうではありません。
例えば原子番号17の塩素原子(Cl)は、通常、電子の数が17個の状態では存在していません。その理由には電子殻の性質が関わってきます。

化学結合を知る前の基本事項②-電子殻って?
電子殻とは原子核の周りにある電子の集まりと考えればよいのですが、この集まりはいくつかの層となっています。この層には内側から順にそれぞれ、K殻、L殻、M殻…と名付けられています(高校生の方は「原子核をくるむ(KLM)」と覚えましょう!)。そしてそれぞれの殻には入れる電子の数が決まっています。K殻…2個、L殻…8個、M殻…18個、となっています。この電子殻の存在を念頭に置いてもう一度周期表を見てみると、第1周期はK殻、第2周期はL殻…となっていることがわかります。しかし第3周期の原子も8個しかなく最大で18個の電子が入るM殻は空きが10個となる計算になります。これはどういうことでしょう?実は電子はM殻に8個入った後の次の原子(原子番号19カリウム原子:K)からはその外側のN殻に入り始めます。イメージとしては8個が正規の席、10個は補助席と考えると想像しやすいでしょうか。そして電子はM殻の正規の席が埋まると補助席は使わずに、N殻の正規の席につくのです。正規の座席の方がすわり心地が良いからですかね。このような感じであまり難しく考えず、K殻以外の電子殻は8個が安定すると覚えると良いと思います。電子殻の電子数が8個ではない原子は、どうにか8個にして安定しようとします。この電子配置は周期表の一番右にある希ガスと呼ばれる族と同じです。先程挙げた塩素はClではなく電子を一つ受け取りアルゴンと同じ電子配置となったClで存在します。

電荷が-1となっても電子殻に8個の電子が入った方が安定するのです。これをオクテット則と呼びます。

では、電子殻に8個のの電子がある状態が安定であることは、化学結合にどのようにかかわるのでしょう?次回はオクテット則と化学結合の関係について記載します。