化石燃料について(1)

化石燃料と世界
石油、石炭などは化石燃料と呼ばれます。最近では新しい化石燃料として、日本近海で採掘されるメタンハイドレートやアメリカで採掘されるシェールガスなどが注目されています。
化石燃料は特に産業革命以降の世界の発展に中心的な役割を果たしていますが、同時にいわゆるエネルギー問題がついてまわります。化石燃料は有限な資源であるため、枯渇が心配される事が理由の一つです。過去には日本でオイルショックなどがあったことからも分かるように、しばしば国際問題、政治的、経済的な問題にもなります。化石燃料は採掘できる場所が限られていることも要因のひとつと考えられます。現在でも産油国周辺で戦争などの有事が起きてしまえば、原油の輸送ルートが閉鎖されてしまい、たちまち原油価格は高騰するでしょう。

燃える(燃やす)だけ?
化石燃料とは燃料という名の通り、燃える(燃やす)ものです。なぜ燃えるものというだけで、世界規模で話題となるような価値があるのでしょうか?それを知るためにまず、そもそも『燃える』とはどういうことかを考えてみます。『燃える』を化学的にいうと燃焼反応をするということになります。そこで燃焼反応を化学式で考えてみます。化石燃料は主に炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)から成りますので…、

となります。化学に詳しい方は「これってただの酸化反応じゃん!」と思ったことでしょう。その通り、燃焼反応とは酸化反応です。酸化反応は通常、発熱反応ですのでエネルギーを放出します。したがって化石燃料はエネルギー物質となるのです。
しかし、はたして酸化反応する物質というだけでここまでの価値になるものなのでしょうか?燃えるというだけなら、木材などの他の物質でも代わりができるような気もします。化石燃料の燃焼反応のかたちをみたものの、ますます化石燃料の価値がわからなくなってきませんか?

化石燃料の根本とは!?
ところで、化石燃料は私たちの生活の中で酸化反応以外にも様々に応用・利用されている化学物質の一つです。有機化学のことを石油化学ともよばれるくらいで、その利用方法は長い間研究されつづけています。長期間にわたり研究対象となっているということは、化石燃料にはそれだけの魅力があり、化石燃料のかがくには酸化反応だけではなく、根本的な何かがあるのではないかと思えてきます。そして、この答は化石燃料のかがくをもう少し深く掘り下げれば見つかるのではないか、と考えました。このシリーズでは化石燃料のかがくについて書いていきます。